先週、上場企業2社のCEO退任の発表がありました。
あなたはどんなことを感じられたでしょうか。

一人は日産の西川広人社長(9月16日付)。
元会長ゴーン氏による一連の不正を見逃した責任や
株価連動型報酬制度(SAR)を巡る問題から
取締役会の要請を受けての辞任で、
在任期間は2017年4月から約2年半でした。

もう一人がZOZOの前沢友作社長(9月12日付)。
SBG(ソフトバンクグループ)の孫会長を慕い
親交があったことがきっかけとなり
ソフトバンク傘下のヤフーがTBOを実施。
創業経営者として21年間を走り抜けました。

両CEOとも、時の主人公としてクローズアップされ
マスコミに取り上げられています。

テレビを所有していない私は、
1時間を超えて放映された発表会見を2本
インターネットでフル視聴させて頂きました。

ところで、お二人に関連する企業の
株式時価総額は9月13日時点で次の通り。

日産自動車:3兆円、
ヤフー:2兆円
SBG:10兆円(国内3位)
ZOZO:7600億円

なるほど、日本の経済を大きく動かす
インパクトのある出来事だとわかります。

そして、経営者であれば
誰でもこのような危機とチャンスに
いつでもさらされているといえます。

前職の外資会社では、私の16年の在職中に
グループCEOは4人交替し、
一緒に仕事をしたJapanの社長は5人交替しました。
その全てのいきさつや現実を身近につぶさに
共有させて頂いた体験は、私の中に今も
暗黙知となって生き続けていると感じます。

経営者は、人・組織を動かすことのできる
繊細で丁寧な人間関係力を発揮できる一面と共に
世の中の流れを掴み、流れにのって舵をきり
行くべき未来へ人々と社会を大胆に牽引する
挑戦者という一面を合わせもっています。

同時に、決して片時も忘れてはならないのが
それら公の側面と共に
「自分の人生をどう決定して生きているか」
という事実だと思うのです。

前澤氏は、社員との別れに涙しながらも
経営者としての自分に限界を感じると共に
もはや、ZOZOの今後の経営に
面白さやワクワクする魅力を個人的には
感じなくなってしまったのではないか
そんな風に思われました。

一人の人として今後の人生における夢を語り、
創業者によるカリスマ経営の時代は終わったと
その21年間に自ら幕を下ろしました。

一方で、日産の会見では、
誰も自分の人生のことなど口に出してはいけない
という空気を感じました。

自由人でオーナー社長だった前澤氏。

日産をV字回復させたゴーン氏が
プロ経営者のカテゴリーに入るならば、

その後を引き継いだ西川氏は
日産生え抜き(勤続42年)のエリートですが

ルノーと資本提携しその傘下に入った
1999年3月以降の現日産においては
社内からの大抜擢された
雇われ社長と言えるでしょう。

実は私は「プロ経営者」という言葉が
あまり好きではないようです。

会社や組織や人々の「生きものとしての機微」よりも
ステークホルダーのための「性急な利益確保」が
求められ優先される側面と
外資会社に多い「プロ的経営?」と
重なって視えるからだと思います。

かといって、対極の「オーナー社長」という
言葉の響きにも違和感があります。
公私混同や私物化といった側面や匂いを感じる時です。

かつて、日産をV字回復させたプロ経営者ゴーン氏。
本当に頼もしく感じ、絶賛したものです。

しかし、そのゴーンさんが今回とった行動は、
結果として、公私混同のギャンブラーのそれでした。
社会の公器である企業の破格の財産を
私物化してしまうという事実は驚きであり
本当に本当に残念でなりません。

経営者は、大きく経済を動かし、
人と組織の幸せに大きく寄与することのできる
チャンスと運に巡り合うことができます。
そのチャレンジと体験を活かせれば、間違いなく
人間としてダイナミックな成長を遂げるのでしょう。

そして、裏腹に同じだけの振れ幅の
危機や挫折の可能性も併せもっています。

つまるところは、一人の人間。
その人生の主人公であり経営者。

この一瞬一瞬をいかに生きている人なのか。
それによって、その人の人生は決まる。

そして、そのことと矛盾なく
その人の職業や社会的使命が成就していく。

それが私のもっているシンプルな仮説であり、
信念です。

この一連の報道から、
私が改めて学び確信したことでした。

ヤフー「ZOZO」買収へ

日産が会見 西川社長辞任とゴーン事件調査結果を発表

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