GEを20年間率いた「20世紀最高の経営者」
ジャック・ウェルチ氏(米GE元会長)が
3月3日、84歳でその天命を全うされました。
ジャック・ウェルチ氏死去|
米GE元経営トップ「20世紀で最も卓越」
私とってGEは馴染み深い存在といえます。
前職で日本支社の歴代社長の一人であった
米国人の上司はGEの出身者でした。
また、ビジネススクールの学友や
ビジネスパートナーなどの何人かも
GEの幹部社員やGE出身の方々です。
彼らからシックスシグマ※のことや
GEの行き届いた人事制度の話などをよく
聞いたものです。
(※ビジネスを継続して改善する手法)
私自身も前職でHRの責任者として
GEメソッドと呼ばれた人事評価手法を
グローバルで社内に普及させ活用しました。
ウェルチ氏の在職20年間でGEの時価総額は
140億ドルから4100億ドル(約44兆円)に増大。
まさに 時代の寵児 であり、世代のパラダイム(※)を
象徴するかのようなご生涯だったと思います。
(※パラダイムとは、特定の時代や分野で多くの人々が
共有しているものの見方や考え方の枠組みのこと)
そして、このパラダイムこそは
F. ラルー著の『Reinventing Organization』で
『機械』に喩えられている(私も属していた)
『オレンジ組織』でしょう。
どの世代・パラダイムが良い悪いでは
もちろんありません。
この自分が生きている時代の現象を
ありのままに観察し、自身も等身大で
その中で進化をしながら生き続けていく・・
時代自体も旧パラダイムを包含しながら
変遷し進化していることを
「ありのままに感じとる」
それがティールの時代を生きる
私たち一人一人に求められている
「よく生きる」ためのスキル
ではないか?
そんなふうに感じています。
さて、ティール組織の
3つの突破口(ブレイクスルー)は:
――――――――――――――――――
1. 自主経営(self management)
2. 全体性(wholeness)
3. 存在目的(evolutionary purpose)
――――――――――――――――――
にあるとお伝えしました。
その中でも私にとって最も旬のテーマが
<進化し続ける『存在目的』> です。
____________
オレンジ組織は『機械』
ティール組織は『生命体』
____________
これまでの組織・事業運営上の慣行は、
グローバル企業などのオレンジ組織で
私自身も実体験してきたものです。
未来がどうなるかを予測(Forecast)し、
それが計画(Budget)どおりに現実となるよう
実行していきます。
具体的には、ビジョンから始まり、
5~10カ年戦略、3カ年計画、年間予算、
沢山の指標、毎月の予算との比較です。
インセンティブやボーナス、ストック
オプションなどは悉く計画に紐づいています。
このオレンジのパラダイムでは、
組織は『機械』に喩えられています。
機械には生命がないため、エネルギーを与え、
何かするように、どこかへ行くように
プログラムすることが必要になります。
このマネジメントスタイルでの
リーダーシップの役割は、明確なビジョンや
戦略をたてることから始まり、
組織をあげてそれに従うように対策します。
ビジョン、戦略、実行と・・・
ものすごい統制をとりながら、
ビジョンを遂行していきます。
これが前回お話した
「コントローラーシップ (Controllership) 」
であり、マネジメントの基本となっています。
一方・・
「ティール」のパラダイムでは、
組織は『生命体』に喩えられます。
組織が無機質なもの、プログラムの必要な機械
とみなされることはもはやありません。
組織は生きもの、生きた存在、生きたエコシステム。
だから、
独自のエネルギー、独自の方向性で
「世界に何かを生み出したい」という
「本質的な欲求」がある存在である
と捉えます。
____________
存在目的
(evolutionary purpose)
____________
ティール組織におけるリーダーの役割は、もはや
未来を予測しコントロールする事ではなく
「より簡単でより謙虚なもの」に変わるのだと、
F. ラルー氏は説きます(※3)。
「この組織の存在目的が、私たちを
どこへ導こうとしているのか聞きつづけ
シンプルに、流れにまかせ、組織と踊るように
しながら、そこへ向かって行く」
それは、クリエイティブな人たちや
アーティストたちのようであると。彼らは・・
「ほとんど皆がこのようなものの見方をし、
口を揃えて言うのです。
『歌や小説、アイディアは、どこからか降りてきた』と。
『突然、そこにあった』のであり、彼らが
考え出したのではないのです。単に選ばれたのです」
組織の存在目的も同様に・・
「何かを世界に生み出すためにその組織が選ばれ
それはすでにそこにあって、
私たちは単に(その歌を書き、その小説を書き、
その何かを創造する)人になればいいのです。
だから、組織がなりたいと望んでいるものに、
耳を傾けつづけるのです」
いかがでしょうか?
あなたはこのようにして、
ご自身の人生や事業の『存在目的』を
捉えられ自問されたことはありますでしょうか?
ラルー氏は続けます。
___
So we have a clear sense of purpose and
we’re constantly sensing into
what the purpose did, demanding of us,
and what’s changing around us,
what’s changing in the ecosystem.
And we are constantly sensing and
responding and adapting to that.
―――
明確な目的意識を持ち、感じつづけるのです。
その目的によって、何が成し遂げられたのか、
何を私たちに要求しているのか、
環境がどのように変化しているのか、
エコシステムで何が変化しているのか。
感じ、反応し、そこに適応しつづけるのです。
____________
「存在目的」を自問する
3つの問い
____________
この2月半ばのことです。
「ティール組織」2回めの勉強会の直後
嘉村賢州さんが声をかけて下さり、
気がつくと、私はこんなお話をしていました:
「私は2012年にインスピレーションを受けた
と感じて、今の職業と、それとは別に、
社団法人を立ち上げました。
8年が経ちましたが、第2回を参加してみて
その2つの存在意義にあらためて向き合い、
「存在目的」に敵っているのか見極めたいと
思っているんです・・」
すると賢州さんは一生懸命に語り始めました。
—『3つの問い』があるのです—
① この組織(役割・個人)は、
この世界で何を実現したいのか?
② 世界はこの組織(役割・個人)に
何を望んでいるのか?
③ この組織(役割・個人)がなかったら
世界は何を失うのか?
これらの問いを真摯に探求することにより、
組織・役割・個人は 世界に
どんな贈り物(gift)をもたらすのかを見つけ、
更新し続けることができる。
―――
あなたにもあらためて同じ質問をさせてください。
この問いを深めるお手伝いもいたします。
※3(ご参考)F. ラルー氏のビデオによる著書の解説
6. EVOLUTIONARY PURPOSE
INSIGHTS FOR THE JOURNEY
今日もお読み頂きありがとうございました!
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